今宵、きみを想う
 唇が触れそうな距離まで近づいて、それで心臓がドクンと跳ねた。


 このまま奪ってしまえないだろうか。


 そんな距離にまで近づいて、ハッと気が付いた。


 彼女の困惑に。


 慌てて肘を伸ばして、君を窺う。


 だけどそれでもどうにもならない衝動を抑えないままに、言った。


 どうか選んで、と願いを込めて。


 たった一瞬でもいい。


 俺のことで頭をいっぱいにして。


 そうしたら俺は幸せだから。


 もし、NOだとしたら。


 それはその時考えるから。


 お願いだ。


 ただ、ただ今一瞬。


 君の今を俺だけに欲しい。
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