Z 0 0 Ⅱ
「……かわいい……」
「うー」
茅野の声と視線に応えるように唇を尖らせたのは、丸い頭に丸い目をした、灰色のサルだった。
うー、と口まで丸くして吠えたかと思えば、いー、と甲高い声で鳴く。
脚を折り畳んでラビの肩に座り込むと、サングラスのフレームと頭が並ぶくらいの大きさしかない。
「ウーリーっていうんだ。こいつは小さいけどもう大人」
「すっごい見てる……」
「好奇心旺盛で、人にもすぐ慣れちまうんだよ。熱帯ゾーンの一番人気だろうな」
茶色い目をぐりぐりと瞬かせて茅野をじっと見るウーリーは、ラビの首に巻き付けていた長い尻尾をするりとほどく。
そして、茅野の方へと手を伸ばしてきた。
茅野がおずおずと指を差し出すと、ラビが少し背を屈める。
体温の高い小さな手が、細い人差し指をぎゅうと握った。
「うー、いー」
「……もしかして、うーいーって鳴くからウーリー、ですか」
「当たり。」
「私のいた世界にもウーリーモンキーっていましたよ、私、ここに来る直前に動物園で見ました」
「へー。似てるのか?」
「うーん……こんなに小さくないし、もっと毛が短いです」