Z 0 0 Ⅱ

「はじめまして、茅野です」
「うーん」
「変な鳴き声」
「うーん?」


ざく、という足音に振り返ると、ラビが近付いてきていた。

ナマケモノは座り込んで小さくなってなお、ラビの倍ほどの高さに顔がある。
立ち上がったらどれほど大きいのだろう。
足はそれほど長くないようだが、きっと樹のゾーンの向こうにある事務所の窓からでも見えるんじゃないか、という気がした。


「ナマケモノがいるってことは、アリも近くにいるはずだな」
「アリ? ですか」
「ああ。仲が良いんだ」
「アリと?」


茅野は思わず足元を見た。

数日前にぎょっとしたショッキングピンクのアリは暖かい場所にはいないようで、熱帯ゾーンに入ってからは一匹も見ていない。
地球では、南半球のアリは大きいというイメージがあったが、ここではそんな凶暴なものも今のところ見かけていなかった。


「アリがいるってことは、アリクイもいるな」
「アリクイ? ああ……」


餌があれば捕食者が寄ってくるのは当然だ。
ネコやナマケモノだけじゃなくアリクイもいるんだなあ、と思っていると、ラビが不思議なことを口にした。

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