[仮]ヒロインは私⁉
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「萌、誕生日おめでとう!」
パーンと鳴るクラッカーと共に、私の前には大きなケーキが運ばれて来た。
真っ白な生クリームの上にちょこんとのったチョコレートで出来たプレートの文字には
"もえちゃんHAPPYBIRTHDAY"
と綺麗な字で書かれている。
大好きな苺のたっぷりのったケーキに、私は子供のように心が踊っていた。
我が片桐家の誕生日パーティーはこうして始まるのが恒例であった。
「萌ももう16歳かあ。結婚出来る歳になったんだなあ」
父親は少しさみしげに呟いて、それに続くように「泣き虫だった萌がねえ。」と母親が微笑みながら言う。