【完】彼を振り向かせる方法
「え……ヒロチ、っ!?」
あぐらをかいている彼の膝に手を添えて、彼の耳に唇をチョンと当てた。
余裕なんてまるでない。
さっきまで考えていたこと全部、吹き飛んでしまうくらいに。
そして、そっと唇を離すと、真っ赤に染まった彼の耳と綺麗なうなじが目に入る。
ほんの少しの意識で支えていた理性を崩すのには、十分だった。
キス……したい。
全身が痺れるくらいに熱くなっていた私の身体は、
そのままゆっくり、彼の唇に近づいていく。
だけどそっか……。
こんな顔を真っ赤にさせて、戸惑ったような顔……カケちゃんも、するんだ。
それを、私よりも先に、穂乃香ちゃんは知ってたんだね。