【完】彼を振り向かせる方法
「は、鼻水……」
「うん、盛大につけてくれていいから……ちょっと聞いて」
薄手のTシャツから伝わる彼の体温を感じながら、私はそのまま身体を預けることにする。
ドクン、ドクンドクン、と不規則に打ち寄せる鼓動が心地よくて、思わず目を瞑った。
「正直なところ……相当嬉しいよ、俺」
「……?」
「愛されてんなぁって、実感したし」
クスッと照れを含んだ笑いが、耳元を掠める。
それと同時に、今さっき自分が暴露したことに赤面した。
だってあんなの、自分が欲望の塊だって言ってるようなものじゃ……。
「それに俺も、同じこと思ってるから」
「……え?」
予想外の彼の言葉に、私は思わず声を出してしまった。