【完】彼を振り向かせる方法
「駅のホームで……ほら、雛水先輩とヒロチーが一緒に通学してたとき。
あんときにヒロチーが先輩に向けて見せてた顔、いまでも覚えてるし……
それに、独り占めしたいって……ずっと思ってた」
ギュッと抱きしめる強さを増しながら、「ストーカーみたいでキモいよなぁ俺」なんて自虐して笑うカケちゃん。
「だけど、そのときよりも今の方がもっと……」
もっと……?
彼の言葉を待つ間、心臓はさっきよりも増して騒がしかった。
「ヒロチーの可愛い顔とか、泣いてる顔とか、照れてる顔とか……あと、たまに見せる女の顔とか……。
とにかく全部、俺だけのものになればいいのにって、思ってるよ」
女の顔って、なんだろう。
そんな疑問を抱きながらも、やっぱりすごく嬉しかった。
「だから……さっきみたいなことされると、俺的にはもう限界かな」