猫を撫でる。
女は叫んだ。
「あんたなんか女として、最低!
同じ女だと思いたくない!
結婚してるくせに、何で涼太を誘惑するの!いやらしい女!」
近くにいる数人の宿泊客が、何事かと美梨と女を見る。
女の剣幕に美梨は思わず逃げ出した。
「ちょっと待ちなさいよ!」
女は美梨を追いかけてきた。
(涼太あ!助けて!)
美梨がロビーに出ると、偶然、風呂上りの浴衣姿の涼太がいた。
涼太は美梨を見つけると
「美梨、カリスマ、どうだった?」
と聞いたが、美梨を追いかけてきた女に気が付くと、呆然とした。
「貴子。なんでここに?」
そうだ…貴子だ……
美梨は思った。
「涼太。テーブルに携帯、
置き忘れてたよ」
貴子は自分のショルダーバッグから
涼太の黒い携帯を取り出す。
美梨は青ざめた。
「涼太、どういうこと?
この人と逢っていたの?」
涼太が自分に対して不実だったのか
と衝撃を受けた。