猫を撫でる。

女は叫んだ。

「あんたなんか女として、最低!
同じ女だと思いたくない!
結婚してるくせに、何で涼太を誘惑するの!いやらしい女!」


近くにいる数人の宿泊客が、何事かと美梨と女を見る。


女の剣幕に美梨は思わず逃げ出した。


「ちょっと待ちなさいよ!」


女は美梨を追いかけてきた。


(涼太あ!助けて!)


美梨がロビーに出ると、偶然、風呂上りの浴衣姿の涼太がいた。


涼太は美梨を見つけると

「美梨、カリスマ、どうだった?」

と聞いたが、美梨を追いかけてきた女に気が付くと、呆然とした。


「貴子。なんでここに?」



そうだ…貴子だ……

美梨は思った。


「涼太。テーブルに携帯、
置き忘れてたよ」


貴子は自分のショルダーバッグから
涼太の黒い携帯を取り出す。


美梨は青ざめた。


「涼太、どういうこと?
この人と逢っていたの?」


涼太が自分に対して不実だったのか
と衝撃を受けた。

< 29 / 40 >

この作品をシェア

pagetop