猫を撫でる。
「違う、違うよ。美梨、聞いてくれ」
涼太は自分の声が大きくなってしまったことに気付き、宥めるように言った。
「もうちょっと、冷静になろう。
三人でちゃんと話し合おう」
1階にあるカラオケルームを1時間
、借りて話し合いをすることになった。
涼太と美梨が同じソファに並んで座り、テーブルを挟んで、向かい側に貴子が座った。
密閉された空間で、一番先に言葉を発したのは涼太だった。
「美梨には誤解してもらいたくないんだけど、貴子には昨日の夜、確かに会ったよ。
でも、変なことじゃないんだ。
貴子がどうしても会って相談したいことがあるからって、俺のアパートを訪ねてきたから、近くの喫茶店で会ったんだよな、貴子」
同意を求めたのに、貴子は下を向いたまま何も答えなかった。
涼太は一瞬イラついた顔をした。
「そしたら、結局ヨリを戻したいっていう話だったから、正直にいうことにしたんだ。
俺には好きな人がいるんだ、
最初に言わなくて本当にごめんって」