キミの華。
春、この時。
『あ、咲いてる。』


庭の桜の木を見上げる。
普通じゃ珍しいが
うちの庭には桜の木がある。
毎年春になると
こうしてきれいな華を
咲かせるのだ。


『華琳?早く飯食べろよー。』

せかす声が下から
聞こえる。

『はーい。』

返事をすると
制服に着替え一階に降りる。

リビングに降りると
良い匂いがした。

『おはよ、華琳。』

一階で待っていたのは
大学生の陽さん。
両親の居ないうちでは
小さいころから
お隣の陽さんが
面倒を見てくれている。


『華琳も中2か~。早ぇな。』
笑いながらコーヒーを
飲む陽さん。
私は軽くうなづくと
朝食を素早く食べ終え
家を出た。

『いってら。』
『いってき。』

陽さんの笑顔につれて
私も笑う。


坂月華琳。

東桜中学校。
今日から中学2年。


庭の桜を
見るとそのまま学校に続く
坂を駆け上がって行った。
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