君に逢いたくて~最後の手紙~
「あぁ、梨衣奈。よかった。
心配したんだよ?」



中に入るとお母さんが走って来た。




「お母さん、ごめん。心配かけて」



お母さんは「ううん」と言って
私の頬を両手ではさむ。



その目には、うっすら涙が浮かんでいた。



私は美夏にもお母さんにも心配かけて、
迷惑かけて…。



ほんとダメな子だな…。




「さあ、中へ。美夏ちゃんありがとう。
今日はもう帰りなさい。美夏ちゃんの
お母さんが今から迎えに来て
くれるそうよ」



お母さんは美夏にそう言った。



するとそのとき…。



―コンコン



扉をノックする音が聞こえた。



―ガチャ



美夏が扉を開ける。



そこには、美夏のお母さんがいた。
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