理央のおにいちゃん
 おにいちゃんは神社をぼろぼろにした悪霊と戦っていました。
 
 悪霊たちは古代の戦争で負けた百済や新羅の兵士たちの霊魂です。

 おにいちゃんのいた時代からずっと、おにいちゃんたち神様を恨んできたのでした。


「人間に恋をするなど、愚かだな。大物主よ」

「どうせお前の正体を知れば、あの理央って娘も逃げ出すのだ」

「裏切られてしまえばいい」


 悪霊たちの声などに耳をかさず、おにいちゃんは神剣を振りかざします。


「きさまたちの言うことなど、信じやしない」

 しかし悪霊を斬って捨てたあと、おにいちゃんは不安になりました。


「オレの正体を知ったら、理央はどうするのかな」

 

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