理央のおにいちゃん
「ねえねえ、おにいちゃんてさ、いい匂いするね」
理央が鼻を近づけてお兄ちゃんに言いました。
「うっ、なんの匂いだろうな」
「わかんない、じゃ香みたいな。ちょっとちがう、あっわかった。蛇だ、蛇の匂いがする」
ぎくっ。
おにいちゃんはあせりました。
真っ青な顔をして理央から視線をそらしていました。
「どうしたの、おにいちゃん、もしかして蛇の化身とかじゃないでしょ」
「うっ、そのとおりだ」
しばらく沈黙が流れましたが、やがて理央はおにいちゃんに抱きついて
「蛇なら大歓迎、理央は蛇、大好きなんだよ」
「あ、そう…」
意外な展開におにいちゃんのほうが腰を抜かしてしまいました。
「いや、どうでもいいんですけど、お社でそういう下品なことしないでちょうだいませんかね…」
ナギのつっこみもなんのその。
理央はおにいちゃんにしがみついたまま、動きませんでした。


