ライラックをあなたに…
「本町通りの歩道橋の上までフラフラ歩いて行き、急に座り込んだんだ。だから、気分でも悪くなったのかな?と思って近づこうとしたら…」
「………したら?」
私が聞き返すと、彼は悲しい表情を浮かべて。
「歩道橋の上から身を投げ出そうとした」
「……?!」
胸の奥のずっしりとした重みを帯びた部分が、ジリジリと熱く燃え始めるのを感じて。
更に息苦しさが増し、無意識に掴んでいる胸元に力が入る。
「………それ……で?」
私はやっとの思いで声を発した。
「勿論……止めたよ」
彼の悲しげな表情が濃くなってゆく。
「………それで?」
「まだ、話さないとダメ?」
「……えぇ、おね……がい」
浅い呼吸の合間に必死に言葉を繋ぐ。
彼は3度目の深いため息を零した。
「酔い潰れた挙句、心身ともにボロボロ状態で意識も朦朧としている状態だったから…」
「………ん」
「そのまま放っておけなくて、ここへ連れて来た」
「……そう………それで?」
私は冷静にその先を訊ねた。