ライラックをあなたに…


ソファに座ったままの俺は、彼女の腰元を抱き締める形で顔を埋めた。

そして、心の不安定な部分を落ち着かせようとした。

いや、満たそうとしていた。


そんな俺の突然に行動に驚く彼女。

硬直して立ち尽くしている。


「ごめん、少しの間、このままで……」

「……………うん」


彼女のお腹部分に顔を埋めたままの俺は、くぐもった声で呟いた。

すると、そんな俺の髪を撫でるように、優しい手つきで指を這わす彼女。


何も言わず、俺が解放するのを黙って待っていてくれる。



暫く、彼女の優しさに甘えさせて貰った俺は、はにかみながら彼女から離れた。


「ありがと」

「ん、どう致しまして」


ハーブティーを淹れるのを止めたのか、再びソファに腰を下ろした彼女。

俺の顔を覗き込みながら、俺を気遣っている様子。


「フッ、もう大丈夫だよ?」

「そう?そんな風には見えないけど?」

「え?」


小さく首を横に振った彼女は、徐に両手を広げて……。


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