ライラックをあなたに…
一颯くんが海外に旅立った翌日。
私はスクーリングの最終日を迎えていた。
今日は簡単な実技試験がある。
合格すると、認定証は後日実家に届く事になっている。
私は一颯くんに買って貰ったエプロンをトートバッグに入れ、受講会場へと向かった。
実技試験は緊張したものの、何とか合格を頂き、無事に受講終了の手続きをする事が出来た。
いつもより2時間程早くに終わり、スクーリングで仲良くなった受講仲間とカフェでお茶をする事に。
「寿々ちゃんは、この先……どうするの?」
「………カフェの学校に通うつもりです」
「そっかぁ」
彼女は夏目紗智子29歳。
OLを辞めて実家のパン屋を継ぐらしい。
それぞれに目指すモノがあり、受講中はお互いに切磋琢磨していた。
2歳年上だが、雰囲気が可愛らしい彼女は、同性の私が見ても癒し系だと思う。
きっと、ご実家のパン屋さんは人気店になるだろうな。
「暇が出来たら、またお茶しようね~」
「はい、是非~」
紗智子さんとはカフェ前で別れ、私は久しぶりに実家へと向かった。