睡魔をイケメンに擬人化してみた
第一夜 睡魔召喚

1 穂村なつみ


こんな夢をみた。


仕事から帰ってきて、玄関で靴を脱ぐ。

ここは私の家だっけ。たぶんそう。

体をかがめた拍子に重力が背中にのしかかって、うぐぐ。

男物のスニーカーが視界に入ってくる。

その隣にパンプスを並べて廊下を進む。

リビングに近づくにつれて、陽気な音楽が聞こえてくる。

それに、いい匂い。ジャガイモを茹でた匂いに、トマトベースのスープの匂い。


「ただいまぁ~」と声を出すと、奥から「おかえりぃ」って声が聞こえてくる。

一気に幸せな気分になる。

あれが私の彼氏さん。



「つっかれたぁあぁ~!」


ピンクやオレンジ、パープルのクッションが置いてある大きな白いソファーにどぼーんと座る。

このポップギンギンの色使いが至福。

パープルのクッションを枕に、天井に顔を向けると蛍光灯がまぶしい。


しばらくだらら~んとしていると「夕飯できたよ~」て声がする。
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