睡魔をイケメンに擬人化してみた

―そう、そうなんだ、私。


キーボードを打つリズムが乗り出す。


”ぎゅううう!って、腰のあたりを力強く抱きしめられたい!私の体に顔をうずめて欲しい!”


2ふぁぼ。


なつみは、いまこの瞬間、自分が求めていることを、言葉にして外に出した。


”彼氏さんと、「今日もおつかれ」って言い合いながら、イチャイチャして、温もり感じながら入眠したい!!!”


―私、こんなこと考えるんだな。


漠然とした淋しさに、暖かな色で塗り絵をしているような感じである。


自分自身について、何かすごい発見をしたかのような気分だ。



―イチャイチャできる彼氏さん、欲しいなぁ。今。


今度はすんなりと、願いが言葉になった。



―今まで出会った男の人の中で、もし私が何か違う行動や話をしていれば、恋人関係になっていた人、いるんだろうか。


入社してからの5年間を振り返ってみる。


いたかもしれないし、いなかったかもしれない。


―過去に”もしも”は不毛だなぁ。



―今すぐは難しいだろうけど、彼氏さんを作ること、もっと意識して動いていいんじゃないかな。仕事ばかりしていないで。


一夜限りとか、二股をかけられて、ということはなつみにもある。

最近はそういうことも面倒くさくなって、恋愛への意識を無意識に自ら遮断していたかもしれない。



―正直、今は恋愛より、安楽が欲しい。全面的に、いい子いい子してもらいたい。


「いい子いい子」なんて、と自分で少し照れを感じながらも、だって必要なんだもの、と心の中で口を尖らす。



気づけばタイムラインはなつみのつぶやきで埋まっている。
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