なんで俺じゃあかんねん
一曲弾き終わると、
目をとじ、深呼吸をした。
俺は、また拍手を送る。
目をひらいた雅さんが、微笑み「ありがとう。」と俺を見る。
「今は、こんなに楽しいのに・・・・」
そう言ってうつむく。
「雅さん?」
「坂井くんは、バスケ好き?」
「うん。」
「そっか・・・」
また悲し気に微笑む。
「どしたん?
雅さんも、ピアノ好きなんやろ?」
「うん、大好き。」
「それやったら、なんでそんな顔してるん?」
さっきまで、あんなに楽しそうやったのに
今は苦しそう。
あのときの、
委員会で見せたときの表情と一緒や。