なんで俺じゃあかんねん
それから、バスケ部員7人、女子7人でしばらくしゃべっていた。
食堂は割と広いし、みんな騒いでいるからあんまり目立たない。
俺はほとんどみんなの話を聞いていた。
そんなとき、食堂の開けっ放しの玄関から、電話をしながら
なにか深刻な顔をしている雅さんが見えた。
雅さんは、そのままこっちには気づかず食堂を通り過ぎてしまった。
・・・雅さん?
どうしたんやろ?
最近、笑顔も増えて明るい表情ばっかりやったから
あの表情は気になる。
なんかあったんかな?
最初に雅さんのピアノを間近で聞いたときの、彼女の泣き出しそうな横顔が脳裏をよぎる。
支えたいと思ったあの感情がまたよみがえってきたような感じがして
俺は「ちょっとごめん。」とその輪の中から抜け出した。