なんで俺じゃあかんねん
ここで俺が言い返したら、またいつものように喧嘩になる。

これまで何百回、そうやってくだらない喧嘩をしてきたことか。

今回は、それじゃアカン。

雅さんを思い出す。

俺のことが好きやと言ってくれた。でも、俺の恋を応援するって。

確かに、逃げてただけかも。

こうして、葵の前に立つとやっぱりどうしても自信がなくて。

弟でなんていたくないのに、最終的に弟になっていたのは俺の意思。

俺の弱さ。

「俺は、違う。」

そう呟いた声が届いて、相手がまたこっちを見る。

「葵って、可愛いんかな?って思ってみてた。」

「は、はあ!?」

え・・・・。

その表情は、赤。

俺の言葉で、葵が・・・赤くなった・・・。

なにそれ。

やめて・・・。

それ、あかんやつ。だって・・・

「かわ、いい・・・・。」

って思ってまうやん。

あ、今度は唇噛んだ。

やわらかそうな唇。そんなに噛んだら出血しないか?

葵は、しばらく俺を見て・・・そして、パッとそらした。

その言動も新鮮で。

もっと見たい。
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