なんで俺じゃあかんねん
みんなが帰って、19時前。

葵の作った肉じゃがを二人で食べる。

・・・うま。

「おまえが和食ってめずらしいな。」

「そうかな。なんか肉じゃが食べたくて。」

「美味しいよ。」

「・・・え。」

俺は、今まで思っていても「おいしい。」なんて言ったことなかった。

だから、葵は驚いて箸が止まる。

「どうも。」

小さく頭を上下に動かし、またぎこちなく食べ始める。

こんな些細なセリフでも、葵に伝えるのには勇気がいった。

他の奴になら、素直に思ってること言えるのに。

でもこれが、特別っていうこと。

「文化祭、終わっちゃったね。」

今度は葵が話しかけてきた。

「あー。あっというまやったな。」

「うん。楽しかった。」

そう言って笑う。

これまで、何回も葵の笑顔を見てきたけど、やっぱりええな。

いろんな表情を見たいって思うし、きっとまだまだ俺が知らん表情がある。

でも、笑顔が一番いいと思う。

俺が笑わせたいと思う。
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