なんで俺じゃあかんねん
部活動選択期間に入り、俺は真田先輩と約束したとおり
真っ先にバスケ部に見学に行った。
まあ、真っ先もなにもバスケ以外する気ないから見学行く気もないねんけど。
自己紹介が終わり、初日ということもあってとりあえず今日は見学だけ。
「坂井くん、めっちゃかっこええなあ!」
見学していると、横にいたマネの女子先輩が声をかけてきた。
「はあ、どうも。」
「てか、可愛いやろ!目、くりくりやし。」
声をかけてきたほうと違うほうの先輩が言う。
くりくり・・・
ていうか、男が可愛いとか言われてもちっともうれしくないし。
とか思ったけど、苦笑いで何も言わないでおいた。
「せやな~。可愛い系やな。
バスケ部以外どっか考えてるとこあるん?」
「ないです。中学ん時もバスケやったんで。」
「よっし!!」
「これで、ちょっとは楽しみができるな~。」
二人の先輩はそんなことを言いながら手をたたいて喜んでいた。
「おまえ、ええなあ。」
それを見ていたのか、斉藤が耳元で悲しそうに言う。
「ん?」
「ん?ちゃうわ!!」
それ、俺の真似?
「あかんで、斉藤!こいつに言っても無駄や。
ハルは、こういうの慣れてるから俺らの気持ちわからんねん。」
リキトが斉藤の肩をたたきながら言う。
「せやな。せやったな。」
斉藤も同意して小さなため息をついた。