なんで俺じゃあかんねん
俺は、葵の手をとり歩き出そうとした。

その手をぐっとひかれる。

「・・・?」

振り返り、様子を伺っていると
しばらくして、葵が顔をあげた。


「どんなときでも私のヒーローなところ、かな。」

はにかんで、最後にちらっと目だけで俺を見る。


葵と目があって、どくんと心臓がなる。

葵の言葉に、ズキズキと鎖骨がきしむ。

手から伝わる葵の体温に、血液がふつふつと音をたてる。




「へえ。そうなんですね。」

最初に反応したのは、リキト。


その表情は、笑ってるけど
どこか切ない。


親友のそんな顔を見たのは初めてだった。



「よかったな、ハル。

いつまでも、ヒーローでいろよな。」


リキトが俺を見る。


その目を見て、誓った。

絶対、葵を幸せにする。



リキトが、目で、さもなくば奪う、と言っていた。


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