なんで俺じゃあかんねん
まあ、いいや。
もう一人で行こう。
なんかあつかましいって思われるのも嫌やし。
俺がそう決心してエナメルをかつぐと、同時に雅さんもスクバを肩にかけた。
あ・・・・・。
二人して、目があって妙な空気になる。
「じゃあ、行く?」
誘ってみる。
「うん!」
雅さんは、俺と話すとき、やっぱり多少はにかむ。
なんか俺とっていうより、男子と話すときって言ったほうがいいかも。
もしかして、慣れてないとか?
無言のまま廊下を二人で歩く。
「ハル!」
そんなとき、誰かに呼ばれて振り返ると遼たちだった。
「委員会か?」
「そう。だから、俺遅れるから。」
「おう!じゃあな~。」
遼たちに軽く手をあげてまた前に向き直る。
しばらくして
「坂井くん!」
「あ、えっと、萩野さん・・・?」
今日昼休みに会った三木の彼女だった。
「そうそう!どこ行くん?体育館と逆方向やけど。」
「委員会。物理教室やねん。」
「あ~そうなんや!
なんか意外。坂井くん、そういうのやらなそう。」
「俺だってやりたくなかったけど、くじでひいてもたから。」
「あははっ!どんま~い!!
じゃあ、紗枝は部活やから~」
「がんばって。」
「ありがとう!!」