。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
とりあえず、新垣 エリナの今後のことは話し合って決めたし、戒とのわだかまりも消えたし
まるで憑きものが落ちたようにさっぱり。
風呂あがりだからか?
鼻歌なんて歌ってスキップして廊下を歩いていると、
戒のお部屋の前で、戒が襖の前に寄りかかって腕を組んでいて思わずあたしは脚を止めた。
「ぷっ」
戒はご機嫌なあたしの様子に吹き出して、あたしは急に恥ずかしくなって俯いた。
「み、見てんじゃねぇよ」
思わず可愛くないあたしがむぅと戒を睨むと、
「見てたい。
俺、朔羅のことずっと見てたい―――」
戒が腕をほどいてもたれていた背を正した。
「朝も夜も―――
春も夏も
くる秋も冬も―――
ずっと」
戒があたしの頬にそっと手を伸ばして、その優しくてあったかい手のひらで包む。
「そ、そんなに見たら飽きるよ?」
あたしが赤くなった頬を隠すように顔を逸らそうとすると、戒の手がそれを阻んだ。
真正面を向くと、戒の真剣な顔がすぐ近くにあってドキリと心臓が鳴った。
「飽きないよ。
俺、朔羅の顔に一目ぼれしたって言うたやろ?
好きになったの顔だけやないけどな」
廊下だって言うのに大胆にも戒はあたしの額にちゅっ。
ドキン!として思わず戒を押しのけようとすると、戒の心臓のリズムは
さっきこいつのお部屋で聴いた
同じ音を奏でていた。