桜縁
「!」
「その者も婿とするゆえ、考えておくのだな。ま、断れば……せっかくの話しが台なしになるやもしれんからな?」
「!!」
「アハハハハ!」
「…………。」
嘲笑うように去って行く、会津藩主。
近藤も浪士組の者達も、それ以上何も言えなかった。
月達は話し合うために一度、浪士組屯所へと戻って来ていた。
皆、あまりのことで言葉を失っていた。
「皆にはすまないことをした。許してくれ……。」
先に話しを切り出したのは近藤だった。
「……いや、いいよ……。近藤さんのせいってわけじゃないしな……。」
「それより近藤さん、月と総司の件……。どうするつもりだ……?」
問題はそこだ。このままでは、浪士組の存続までが危うくなってしまう。せっかくまとまった話しも破談になってしまうのだ。
だからといって、沖田や無関係の月まで巻き込むわけにはいかない。
「それにしたってなんで長州なんだ?幕府に仕えているはずの会津が、敵の長州と手を組むなんてありえないだろう!」
確かに、敵である長州と会津が手を組むのは、筋違いというものだ。
「長州の【高杉家】一族と、会津の【松平家】は、元々は兄弟藩なのです。なので、友好を維持し、共に幕府に仕えようと必死になっておられるのです。それに、沖田君達が巻き込まれた…ということです。」
「つまり、俺達は利用されたってわけか?」
「そういうことになります。何しろ我々にはそれに対抗出来るほどの力もありませんから……。」
浪士組が存続には何がなんでも、会津藩の後ろ盾が必ず必要だ。
そのことは会津藩も承知の上で、あんなことを言い出したのだ。もしくは、始めからこれが目的で、浪士組を受け入れようとしたのかもしれない。
「くっそ…!汚い奴らだ!」
永倉は畳みに拳を叩いた。握りしめた拳が怒りで震えていた。
人の弱みに付け込むなど、悔しくてたまらない。それはここにいる全員が思っていることだ。
「今からこんなんじゃ……、浪士組はいったいどうなってしまうんだろいな……?」
皆の思いを口ずさむ原田。
このままではいずれ、会津に利用され続け、長州や薩摩から見下され、属隊となりかねない。
「せめて、松平様のご息子である容保様が、藩主であられたなら、なんとかなったのですが………。」