桜縁
「永倉さんまで……、どうしたんですか?宴会に出られたんじゃあ……。」
普段は宴会とかになると、盛り上がり役となり、絶対席を立つことのない二人がそこにいた。
「いや、なに……、ちょっとな。」
「これから囚われのお姫様を、この永倉様が助けてやろうとしてんだ。」
「囚われのお姫様……?」
意味が分からずに小首を傾げる月。
「お前のことだよ 月。」
「……!」
「ってか、この状況でお姫様つったら、お前しかいないだろ?」
「でも!……そんなことしたら、皆さんが……!」
「やっぱりか……。」
「え……?」
「皆で話してたんだ。結婚が決まってから、お前の様子が変だったしさ……。やっぱり、よく知りもしない敵の男と結婚するのは嫌なんだろうなって……。」
「平助君……。」
「無理して結婚する必要なんかねぇだ!俺達のことは俺達でなんとかする!だから、月はここから逃げろ!」
「ああ、その方がいい。今なら奴らの気も逸れてるしな。それに月ちゃんを無事に逃がすように、土方さんからも言われるしな。」
「土方さんまで……?」
「ああ…。なんだかんだ言ってあの人はよく見ている。だから、俺らに逃がす役を回したんだろうよ。」
そんなことまで考えてくれていたとは、改めて土方の優しさを感じる月。
いつも、ぶっきらぼうで冷たい感じがしていたが、細かいところまでちゃんと見ていてくれたのだ。
「ありがとうございます、皆さん……。」
「さあ、月ちゃんこっちだ!裏口からなら、奴らに見つからずに出られるはずだ!」
「平助。」
「分かってるって…!来いよ月!」
「うん!」
平助は月の手を取り、二人の間を抜けて裏口へと走っていく。
裏口から怪しい者がいないかを確かめて、外へと出た。
「ここからじゃあ危ないし、俺が途中までついて行ってやる。」
「うん……。」
後ろから、見送る二人に合図をする。
二人は達者でいろと言わんばかりの笑みで、月を見送っていた。
最後まで迷惑をかけてしまった。月は感謝の気持ちいっぱいに、二人に向かって頭を下げ、先を走る平助を追いかけて行った。
すると、突然二人の目の前に土方が姿を現す。
「!」
「土方さん……!?なんでここに……。」
「見送りだ。俺達のために人生を某に降ろうとしたんだ。それくらいさせろ。」