[中] 0o 恋と果実 o0
成長
成長
12月になり、だんだんと寒くなってきた。
これまで2人は順調に過ごしていき、学年ではちょっとした有名カップルだった。
2ヶ月記念を過ぎた、ある部活がない日の事。
来夢は拓也と帰ろうと昇降口へと急いでいた。
1階へ続く階段と駆け下りようとした時、
―ドンッ―
誰がとぶつかり、しりもちをつく。
「いったぁ…」
「大丈夫?!」
聞き覚えのある、高くて可愛らしい声。
見上げた先には…、瞳がいた。
来夢は急いで立ち上がり、
「あ!! すっ…すいません!!! 先輩、怪我は…」
そこまで言いかけて、瞳の頬に涙が伝っている事に気付いた。
「…瞳先輩…??」
「あ、ゴメン♪ 私は大丈夫だよぉ。1回会った事あるよね?? 私の名前、覚えててくれたんだ!!」
慌てて涙を拭き、無理して笑う瞳に心が痛んだ。
「…はい。何か、あったんですか…??」
知らず知らずのうち、口が開いていた。瞳も少し驚いたように来夢を見た。
「ごめんなさい!! こんな事なれなれしく…!! じゃあ、本当にすみませんでした。さよなら!!」
「待って!!」
走り出した来夢の足が止まり、瞳を振り返る。
「…話、聞いてくれる??」
思いもかけない瞳の言葉にただ、頷くしかできなかった。