[中] 0o 恋と果実 o0
「そっかぁ!! これ、青リンゴじゃなくてライムだったのか~♪♪」
瞳が来夢の携帯ストラップを見て笑いながら言う。
2人は屋上のベンチに座り、他愛もない話をしていた。
やっぱり瞳先輩は優しくて明るくて話しやすい。
思ったより話があって楽しむことが出来ている。
「…来夢ちゃん、来夢ちゃんは誰か好きな人いる??」
「…はい、います。」
「それって…雅紀…??」
瞳の表情が急に悲しげになったのがわかった。
「違いますよ。何言ってるんですかぁ。私はちゃんと大好きな彼がいます。」
来夢は迷わず、はっきり答えた。
「そっか。…私ね、雅紀と別れちゃったんだ。」
「え?!」
「…雅紀は他の子に恋してるみたい。」
瞳の頬に涙が伝った。
「その子は、1学期に傘をかした女の子…だって。」
「…」
来夢は何も言えなくて静かに瞳の言葉を聞いていた。
「ひ…っどいよねぇ。私と付き合いながら半年もその子の事想ってたんだよ??」
「……嘘、ですよね…??」
「本当だよ。」
瞳は泣きながら笑った。
来夢も泣いた。
理由はわからない。
けど、泣けてきたんだ。