[中] 0o 恋と果実 o0

「話、聞いてくれてありがとう。楽になったよ♪ 夜、メールするね!!」

そう言い、先に去った瞳先輩。

雅紀先輩は何人に傘を貸したかは知らない。
でも、きっと気付いているだろう。
私が、雅紀先輩が傘を貸した1人だって事を。


…私?? まさか。そんな事はない。


私は必死にそのことを頭から消した。


拓也…。拓也にはやく会いたい。
来夢は涙もろくに拭かず、走り出した。

「拓也っ?!」

昇降口につき、辺りを見回す。
しかし、そこに拓也の姿はなかった。

急いで携帯を開く。

受信メールは3件。

<来夢?? ゲタ箱で待ってるよ~??>
<どーかした?? 補習?? 返事くれ>
<ゴメン、今日、用あるから先帰るな。>

…ゴメンね、拓也。
40分も過ぎてれば普通帰るよね…。
ゴメンね。


今思えば、この時からだったかもしれない。

私の心がおかしくなったのは。




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