[中] 0o 恋と果実 o0
「…は、話せた…!!」
大きく脈打つ胸を押さえ、校舎のかげで立ち止まった。
顔を真っ赤にして息を整える。
どうしよう、変に思ったかな…。
「バッカじゃねーの。」
後ろからのイキナリの罵声に驚きながら振り返る。
「バレバレだっての、あんなの。 …お前、雅紀先輩の事好きなんだ??」
練習着を土で汚しタオルで汗を拭きながら、同じクラスでサッカー部の拓也が話しかけてきた。
180センチという高身長に程好く短い髪。
周りから見ればカッコイイんだろうけど…、
私はそうは思わない。なんでこんなに意地悪…?
一瞬言おうか言わまいか迷ったが、
「…いいじゃん、別に。」
と下を向いて答える。
拓也は、あっそ。と言ってクルリときびすを返し、部室に戻ろうとした。
「…止めとけよ。」
不意に、来夢に背を向けたまま拓也が言った。
「え??」
「いや、何でもねぇ。じゃあな。」
…変な奴。
来夢は特別拓也の言うことを気にしなかった。
そんなことより、今日話せたことが何より嬉しくて。