抹茶モンブラン

2. 選択

 恋は人を自己中心的な世界へと引きずり落とす。
 誰でも好きな人とは、どうあってもつながっていたいと思うはずだ。
 もし「好きな人がより幸せになるなら、自分は相手を諦める」という選択をした場合、これはどういう感情になるのだろうか。

 「愛」という言葉が相応しくなるのは、そういう自己愛を捨てた時なんだろうか。

 命に代えても欲しいと思うその人が、立てないほど弱っている人を助けようとしてい る。
 それを私はどう応援したら自分に正直であり、相手を最も尊重する事になるのか思い悩んでいた。

 こんな事を考えるようになったのは、病院で療養中の紗枝さんを見舞いに行った時の事が大きく関係している。

 その日は光一さんが病院へは立ち寄れないというので、頼まれていた新しいパジャマを私が届けに寄った。
 その前から何度かお見舞いには行っていたけど、特に会話が弾む事も無くて、何だか居心地の悪い空気のまま私は病院を後にしていた。
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