抹茶モンブラン

4.キス・キス・キス

 ずっと車に乗っていても仕方ないから、結局車は私のアパートの駐車場に戻ってきた。
 少し気持ちも落ち着いたようで、堤さんの表情も最初の頃よりは穏やかになった気がする。

 彼の事は好きだけど、ギリギリになると人が変わったみたいになる部分があるのは多少怖いと思ってしまう。

「あまり綺麗になってないですけど」

 私はまさか今日堤さんが自分の部屋に上がると思ってなかったから、結構ちらかった 部屋に恥ずかしながら通した。
 彼を自分のアパートに入れたのはこれが初めてだ。

「僕の部屋の数倍綺麗だよ。神経質なわりに、掃除が下手でさ。今度掃除する専門会社に頼んで一度徹底的に綺麗にしてもらおうかと思ってるぐらいだよ」
 私が行った時には比較的片付いていたけど、あれは相当頑張って片付けたって事だろうか。
 そんな事を思ったら、ちょっと心が緩んだ。

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