抹茶モンブラン
「お茶入れますね。ソファにでも座っていてください」
「うん、ありがとう」

 彼は素直にソファに座って、テーブルに置いてあった新聞を読み出していた。

 何だか男性がこの部屋にいるっていうのはすごく不思議な感じがする。
 毎日ここで彼に渡す為のお弁当やらお菓子やらを作ったりしている。
 その相手がソファに座って新聞を読んでいる。

 彼が居てくれると思うだけで、すごく安心できてしまうのはどうしてかな。
 もう私は堤さんに頼りきってしまっているんだろうか。
 彼は私を好きになり過ぎてるとか言っていたけど、私だって堤さんが言うよりずっと彼を必要としている気がする。

 たっぷり注いだアッサムティー。
 お好みでミルクも入れられるようにセットして、彼の前に運んだ。

「甘いのが好きでしたら、お砂糖も入れてください」

 あまり自分では使わない角砂糖の入れ物を久しぶりに取り出してテーブルに乗せた。
< 59 / 234 >

この作品をシェア

pagetop