抹茶モンブラン
 好かれるっていうのは嫌な気分にはならなかったけれど、一緒に仕事をしなくてはいけない人からそういう言葉を聞いてしまうのは、ちょっと困った。

 高田さんは体は大きいけれど、心が繊細で他人の心を思いやる気持ちが強い人だ。
 自分の言った言葉で私が困っているのを見て焦っていた。

「すみません、変な事言って。何か、乙川さんと一緒だとすごく気が楽になるんで……僕はこうやってたまにランチをしたり職場で雑談するだけでも嬉しいんです」

 彼の言葉はとても丁寧だ。
 これだけ日本語を流暢に操れるっていうのは、彼のご両親がしっかりと日本の言葉を教えて育てられたんだなっていうのが伝わってきた。

「あの職場には私ぐらいしか独身女性いませんしね。高田さんなら他にもきっと素敵な女性との出会いがあると思いますよ……」

 私はこういう言い方でしか彼の言葉には答えられなかった。

「いえ、僕はこれでも趣味に生きるタイプで、結構色々な国の女性と友達になって、たくさんの人間を見てきた方だと思ってるんですけど。乙川さんみたいな人ってあまり出会った事がないですよ」

「そうですか?趣味……ってどんな?」

 話を自分の事から逸らそうと思って、私は彼の趣味について質問をした。
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