『ピュアに恋して』~秘密な関係~ドリーマー
香奈は、言葉を切って
尾上兄弟を見据えた。



「いつも見てられるのが当たり前の人は、
他人も自分を見てくれるのが当たり前とおもうんでしょうが……

 私は、違う。

私は、好きな人には……

その人にも同じくらい
私を見て欲しいんです」




「尾上さんは、私の事
全然見てくれてないもん。

変わったタイプがたまには新鮮にうつっただけです。


尾上さんは、私の事何にも知らないって言った時、
『これから知ればいいし、知らなくてもいいって言いましたよね』


それって、私にそれぐらいしか
興味がないって事ですよね?」



「そんな事ない」

智也は言いかけていたが
やがて

口を閉じた。



泣いている香奈を
見たから。



「香奈ちゃん……」


春哉も智也も
泣いている香奈を
前に
何も出来ずに立っていた。

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