理想の男~Magic of Love~
何よ、それ?

どう言う意味なの?

何が言いたいの?

言いたいのに、唇を動かすことができない。

「愛莉が幸せなら」

藤が言う。

「俺も幸せだから」

キレイに笑った後で、藤は背中を向けた。

「――ふ、藤!」

やっと唇を動かして、藤の名前を呼んだ。

「この先の残りの人生がおまけでも、俺は構わない。

一生分の、永遠の恋をしたから」

藤は背中を向けたまま、そう言った。

「だから何なの、ねえ!」

私の言葉に、藤は振り向かない。
< 124 / 270 >

この作品をシェア

pagetop