理想の男~Magic of Love~
浩治は路肩に車を止めた。

「今日はありがとう。

じゃ、また」

「えっ…」

訳がわからない顔をして何か言いたそうな浩治を無視すると、私は車を降りた。

私が降りたのを確認すると、浩治の車が走り出した。

私はそれが見えなくなったことを確認すると、今きたばかりの道を走った。

近づけば近づくほど、バリトンサックスの音色が聞こえる。

彼が吹いているのだろうか?

いや、私の見間違いだと思う。

でも、確かめたい。

やっと、目的地についた。

「――ああ…」

やっぱり、彼だった。

私の見間違いじゃなかった。
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