音匣マリア
ショーもフェアも盛況のうちに終了して、俺は何かと理由をつけて彼女の近くに行こうとした。

けれど。


ああ、ムカつく。

彼女の回りに、なんであんなにヤロー達が集まってるんだよ。


そっから離れろ、マジうぜぇ。


そうこうしているうちに、彼女の姿を見失ってしまった。


マジ最悪。




披露宴の途中で、彼女がにこりと笑ったあの笑顔には瞬殺された。今も、ヤロー達に囲まれて、ひらりと回った彼女から目が離せずにいた。



けど、俺の回りに群がってる女共が邪魔で、彼女を探そうにも身動きがとれない。



……ちっくしょ、あのコの姿、見失っちまったじゃねぇかよ。





「ちょ、どいてくんね?支配人はどこ行った?」

女達の輪をすり抜けて支配人を探す。こうすりゃあのコを近くで見れるかも知れねーし。



「支配人でしたら、多分親族控え室にいると思いますけど…」


どう見ても30代の厚化粧で香水がキツい女がシナを作りながらわざとらしく俺を見上げて囁いた。




「伝票の事で用事があるんで。支配人探してきます」


そう言い残して俺は女達の腕を振り払いながら立ち去った。




けど。
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