浮気は、いいよ。
沙耶香の姿が見えなくなると
「・・・・トモダチ1人、失くしちゃった」
優里がポツリ零した。
オレにはさっきの言い合いなど、トモダチ同士のふざけ合いに見えた。
「・・・・そんな深刻な話、さっきしてた??」
「『ばいばい』って言ったじゃん。 どうしたって、沙耶香を赦す事なんて出来ないもん。 トモダチになんて戻れない。 ・・・・でも、沙耶香の事、大好きだったんだよ、ワタシ。 大好きだったのにな・・・。 大好きだったから尚更・・・・無理だよね・・・」
今にも泣きそうな優里から
優里の淋しさ、悔しさ、辛さ、悲しさが痛いほど伝わってきた。
自分の旦那と寝た女とトモダチでいられるような神経を持ち合わせていれば、優里は今こんなに痩せ細っていなかったハズだ。
少し考えればわかる事。
沙耶香だって、優里の『ばいばい』の意味が分かっていたから、立ち止まりも振り返りもしなかったんだ。
オレは、優里から、沙耶香から親友を取り上げた。
オレは何を暢気に2人のやり取りを眺めてたんだろう。
「・・・・行こっか」
優里がまた歩き出した。
でも、もう手を繋ぐことはしなくて。
『手、繋ごっか』などと、この期に及んでもまた言える様な神経を、オレもまた持ち合わせていなかった。
「・・・・・うん」
2人黙って歩く。