浮気は、いいよ。
市役所に着き、発券機から整理券を引き抜いて、ベンチに座って順番を待つ。
優里と並んで座っていると
「ご結婚されたんですか?? おめでとうございます。 お幸せにね」
オレらが婚姻届を出しに来たのだと 勘違いした、知らないお婆さんに話し掛けられた。
………このお婆さんには、オレたちが仲良さそうに見えるのだろうか。
「いえ、オレたちは「ありがとうございます」
否定をしようとしたオレを遮って、優里がおばあさんに『ペコッ』と頭を下げて微笑んだ。
お婆さんは優里に微笑み返すと、オレに軽く会釈をしてその場を離れて行った。
「優里、ナンデ嘘吐いたの??」
「本当の事言ったっらあのお婆さん『余計な事言っちゃったな』って気を悪くするカモしれないじゃん。 全然知らないワタシたちに『おめでとう』って言ってくれる人なんだよ?? そんな優しい人に、変な気遣わせるの嫌だったから」
優里らしい理由の優しい嘘。
これが本来の嘘の吐き方なんだ。
これが正しい嘘の吐き方。
嘘は、人を傷つけたり欺いたりする為に吐くモンじゃないんだ。
でも
卑怯な嘘は金輪際吐かないから
最後に1度だけ。