浮気は、いいよ。


さほど待たずに悠介はビニール袋を揺らしながら戻ってきた。



モノを食べる気など全くないのに、1人分にしては多いおにぎりやパンが入っていた。



「おにぎりとパン、どっちがイイ⁇」



やっぱり勧めてきた。



悠介の優しさは素直に嬉しかったけど、
食べたくない。



「ケバブしか食べたくない」



ワタシも悠介の性質を覚えている。



悠介は弱ってる人間を見過ごせない。



強気にワガママを言った方が、悠介は引き下がる。



「おっけー」



しばらく会わない間に、悠介の返事は『おっけー』になったらしい。



「じゃあ、コレでも飲んどけ」



悠介が手渡してきたのは、果肉入りのグレフルジュースだった。



ちょっとでも固形物を、ちょっとでもサッパリした物を。



悠介は昔から気遣い上手だ。



「アリガトウ、悠介。 アリガトウネ」



さっきのワガママ、取り消したい。



ケバブて………。
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