浮気は、いいよ。
幸太郎はいつも通り帰ってきた。
夕食をテーブルに並べてテレビをつけた。
ちょうど『浮気』をテーマとした番組だった。
幸太郎は焦る様子もなく、ワタシが作った料理を食べながらテレビを見ている。
「………浮気は、いいよ」
いいわけがない。
でも、ワタシを1番に思ってくれるなら。
絶対にワタシの元へ帰ってきてくれるなら。
「……何ソレ」
幸太郎は、精一杯のワタシの言葉に無関心だ。
「でも、浮気しても指輪は外さないでつけてて欲しい」
浮気の最中でも、頭の奥の奥の隅っこでいい。
ワタシの存在を消さないで。
ほんの少しでも、罪悪感を持っていて。
「何言ってんだか。 オレは絶対しない」
なんの抵抗もなく嘘をつく幸太郎に、嫌悪感を抱いた。