浮気は、いいよ。
「・・・・幸太郎、夕食ってもう済んでるんだよね??」
優里が何か思い出したかの様にキッチンに目をやった。
「・・・うん」
こんな日にも、オレは沙耶香の作ったゴハンを食ってきた大ばかヤロウだ。
「・・・・あのね、最後だからと思って、最後に幸太郎の好きなビーフシチュー作ったんだ。 明日にでも温め直して食べて。 ・・・・あ、食べたくなかったら捨てていいから」
捨てれるハズがない。
きっとオレは明日、泣きながら優里の作ったビーフシチューを食うんだろうな。
「・・・・・ねぇ、幸太郎」
「・・・・ん??」
「ワタシの作ったビーフシチューって、おいしかった??」
優里は料理が上手だ。
何を作らせても美味かった。
大好きな優里が作ったから、おいしかった。
「うん。 お店で出てくるのより、優里が作ったヤツの方が好き」
「・・・・そっか、ヨカッタ。 ・・・・・最後だから言うけど、実はワタシ、デミグラスソースの味が苦手で・・・・味見してもおいしく出来てるのかマズイのか、正直分かってなくて・・・・いっつも不安だったんだ」
・・・・知らなかった。
だって優里は、いつも一緒にビーフシチューを食べてくれていた。
2年も黙って無理してたんだ。
「・・・・じゃあ、ハンバーグとかも??」
「・・・・うん。 ホントはおろしポン酢とかで食べる方が好きなんだ」
「・・・・言ってくれればヨカッタのに」
「・・・・幸太郎の好きなもの、ワタシも好きになりたかったんだよ」
『終に克服出来なかったー』と笑う優里。
オレは確かに優里に愛されてた。
ちゃんと愛してもらっていたのに。