それだけ ~先生が好き~


先生の目を見ることが出来なくなって、毎日泣いてばかり。


こんなんじゃダメなのに。

自分で決めたんだから、乗り越えなきゃダメなのに。


頭ではわかっているけど、涙は止まらない。

ベッドに顔を押し付けて泣く。

たちまち涙のシミがシーツに広がる。




電話だ。


急いで鼻をすすって、携帯を開く。


晴香だ。

どうしたんだろ、いつもメールなのに。


電話に出た私は泣いていたことがばれないように必死だった。


「もしもし?」


『ゆき?今日会えなかったから、電話してみました!今日ね、先生といっぱい話せたんだぁ・・・聞いてくれる??』



晴香のはりきった声。


また涙が流れそう。


だけど、耐えなきゃ。



「いいよ!聞くに決まってるじゃん!何話したの?」



私は・・・ずるい。


こうやって、先生のこと聞き出してるんだ。


晴香を利用してる。


でも先生が何をしているのか、何を考えているのかを知らなくなった私は、晴香から聞くことぐらいしか出来ない。



晴香は何も知らない。




今電話をしながら、唇をかんで涙を静かに流している私を知らない。





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