それだけ ~先生が好き~


その日から、松戸を意識して見るようになった。



すぐわかった。


今井の視線の先にはいつも松戸がいた。




時々、授業中ぼーっとしている今井を心配そうな顔して松戸が見ていたりもした。



夏休みに入って・・・会えないのは辛かったけど、連絡はとってた。



そして、いつの日か決心したんだ。


会えないのがかえって俺を後押ししてくれた。



だめでもなんでもいい。



あいつに俺の気持ちを知っていてほしいって、思った。




夏休みがあけて、すぐ自分の気持ちに限界が来た。



小さいケンカをしたあと・・・バツが悪そうな顔して『ごめんね』なんて言う今井。




自分の身体が勝手に動いた。




こいつを抱きしめたいって、思った。




俺のものになればいいのにって思ったんだよ。






だけど、お前はやっぱり




俺のことなんか、見ていなかったんだな。





もう、それでもよかった。





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