それだけ ~先生が好き~



『どう?ちょっと春っぽい服にしてみました』


家庭訪問のとき、学校で着替えた先生は私に話しかけてくれたんだ。



黄色いシャツに、ブラウンのネクタイ、白のズボン・・・。


今でも鮮明に思い出せる。



『うわぁ~、素敵素敵!!』


まだ片思いだった私は、照れくさくてわざとらしい口調でほめたんだ。


『なんかなげやりだな~』


なんて言うから何度も素敵だと言った。



ほんのささいな出来事。



先生からしたら、なんてことないことなのかもしれない。

覚えてないかもしれない。


だけど私はずっと覚えているよ。


これからずっと、忘れたりしないよ。





『今井は、3組だよな。えっと・・・お前、4組だっけ?』


2年の7月の夏休みに、部活仲間で開放されてる図書室で勉強していたんだ。


先生が話しかけてきてくれて、いっぱいしゃべれた。


私のクラスだけ・・・覚えててくれたんだ。


先生の担当のクラスの子は覚えてなかったのに。



ちょっとだけ、特別な気がして・・・


隣に座ってくれて、勉強教えてくれて。





好きで好きで、どうしようもなかったんだよ。


人をこんなに好きになれるんだって、本気で思ったんだよ・・・。




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