† Lの呪縛 †
ダグラスは立ち上がると、静かにエリオットに歩み寄る。


床に転がるエリオットを見下ろした。


感情の読み取れないダグラスの目に、エリオットは震え上がる。



「お前が長兄でなくて良かった。 お前の様な小心者に、レッドフォード家に代々伝わる家業は務まらぬ」

「か、ぎょう……?」

「我らがただの慈善で動いているとでも思っていたのか? 笑わせるな。 我らQuasi- angelsの邪魔をする者は誰であろうと許さぬ。 たとえ実の弟であろうとな」



ダグラスは腰にさした剣を引き抜き、エリオットの喉元へ突き立てた。


剣先に触れてしまいそうな喉仏が上下する。



「に、兄さん……あや、謝るよっ。 もうこんなこと絶対にしない!! だからっ、命だけは……っ」

「そうか……だが、謝る事はない。 お前にはもう何も出来ないのだからな」

「え……」



ダグラスは剣を振り上げ微笑んだ。



「有難く思え、せめてもの情けだ」



剣が勢いよく振り下ろされ、床にめり込み血は飛び散りエリオットの首が転がった。



「い、いやぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!」



耳を塞ぎたくなる様なけたたましい叫び声が、薄暗い部屋に響き渡る。



「エリオットッッ!! エリオットォォォッッ!!」




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