† Lの呪縛 †
何も答えないダグラスに苛立ち、グラハムは荒々しく腰を上げた。



「新しい情報は得られたんだろうな?」

「さぁ、まだ分からない」

「分からないだと?」

「早急にエリオットの診療所を調べるよ。 何か分かれば直ぐに連絡を入れる」



グラハムは苛立ちを隠す事なくドアへ向かって歩き始めた。


ハンガーに掛けているコートを乱暴に取り、怒りをぶつける様にドアを激しく開け部屋を出て行った。



「全く、あやつは昔から起伏が激しくてかなわんな」



白髪に真っ白な顎鬚を生やした男性はそう言いながら、開けっ放しにされたドアを優しく閉めた。



「お前もお前じゃ。 あんな態度を取ればグラハムが怒ると分かっていたであろうに」

「今深く語れる事は何もありませんから……」

「本当、ダグラスは昔っから真面目よね」

「真面目ではなく、慎重なだけだ。 いくら仲間内とはいえ、軽率な言動はよくない」

「お前さんとグラハムを足して割ったら丁度いいんだがな」



白髪の男性は呆れた顔をして、チェスボードの前に腰を下ろした。



「久しぶりにどうじゃ?」

「えぇ、喜んで」



ダグラスは白髪の男性に微笑むと、チェスボードの前に腰掛け直した。


他のメンバーがチラホラ帰り始める中、キャシーは二人がチェスをしているところを眺め、残りのワインを楽しんだ。





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